REITと不動産投資の違い

REITは投資家から集めたお金をプロが不動産に投資運用し、利益を分配する仕組みですが、同様に個人で不動産投資をする場合とどちらがよいでしょうか。

 

REITと不動産投資について、それぞれのメリット・デメリットを挙げて比較しました。

 

REITと不動産投資を比較すると以下のような点を挙げることができます。結論から言うと、不動産投資の方が総じてハイリスクハイリターンです。

 

REITのメリット

  • 少額から始められる
  • 分散投資や投資先変更が容易
  • 流動性が高い
  • 資金を出すだけであとはプロが運用してくれる
  • 個人では購入できないような不動産に投資できる

 

REITのデメリット

  • 大幅な利益は期待できない
  • コストが高い

 

 

不動産投資のメリット

  • 借り入れを使ってレバレッジを効かせることができる
  • 相続税評価額の減少等の効果がある
  • 積極的に転売益を狙うオポチュニスティック戦略をとることもできる

 

不動産投資のデメリット

  • 流動性が低い(すぐに手を引けない)
  • 手間がかかる

 

REITの主体となる投資法人でも投資家からの資金のほかに借り入れをしていますが、多いところでも総資産に対する有利子負債比率は50%程度に抑えています。

個人で不動産投資をすると80%とか90%ということもザラですので、かなりハイリスクになってきますが、REIT同様にLTVを50%にするのであればこの点はメリットでもデメリットでもなくなります。

 

転売益を積極的に狙っていくオポチュニスティック型については、通常不動産会社やファンドが行うものですのでREITに期待される安定した運用には向きません。

 

改修等により資産価値を向上させるバリューアッド型くらいなら投資法人でも取り組めますが、分配金の安定という点で休業期間を長引かせることは望ましくないため、大幅な改修・改築に取り組むのはかなり大きな投資法人でないと難しいです。

 

この点、個人でオポチュニスティックな運用をして、取得価格と改修費用の合計よりも高く売れればそれでいいという単純かつ明快な勝負をできるのはREITにはない魅力といえそうです。

(リスクの小さい方から順に、コア < コアプラス < バリューアッド < オポチュニスティック となります。)

 

REITと不動産会社への株式投資の違い

次に、不動産会社の株式を購入する場合との違いを見てみます。

REITと不動産会社への株式投資を比較すると以下のような点を挙げることができます。基本的には株式投資の方がハイリスクハイリターンです。

 

REITのメリット

  • 事業が不動産賃貸のみと単純でわかりやすい
  • 賃貸収入に関する利益については原則100%が分配される
  • 分配金予想はあまりぶれない
  • LTV50%程度に抑えているためリスクが低い

 

REITのデメリット

  • 大幅な利益は期待できない
  • 地銀の資産運用という特殊な資金の流入

 

不動産会社への株式投資のメリット

  • 開発、分譲、転売、仲介といった、賃貸以外の収入がある
  • 有利子負債比率は総じて高めであり、昨今の低金利下においては効率がよい
  • 不動産以外の事業も自由に行える

 

不動産会社への株式投資のデメリット

  • 賃貸以外の不動産事業のリスク(開発失敗等)
  • 不動産以外の事業で何かしら失敗するリスク
  • 有利子負債比率が高いことによる金利上昇や借り換えリスク
  • 利益の30%程度しか配当が出ない。(株式の配当金=REITの分配金)

 

 

安定的な分配金が目的であればREITのほうがリスクは低いのですが、一方で、賃貸収入一本に偏っているともいえます。また、地銀の資産運用という特殊な資金が流れ込んでいることはこれまでであればREITの上昇要因であり、メリットと考えられていましたが、2020年3月の暴落により、それがデメリットとなることがあるということが明らかになりました。

 

 以上、REITと不動産投資、REITと株式投資の違いを見てきましたが、メリット・デメリットは固定されたものではなく変化することを意識して注意することが必要です。

 

まとめ&補足

 

・REITは不動産賃貸だけしている

 

・賃貸から生じる利益はほぼ全て分配される

 

・売却益は割と内部留保されて分配金の安定化に使われる

 

・融資先不足と国債金利低迷により、地銀がよく買ってる

 

・いずれにせよ地震には弱い